カスタードプリン — 中くらいの絶妙食感

プリンを作るたびに思う。
このお菓子は、材料の豪華さではなく、
「温度」と「時間」をどれだけ丁寧に扱えるかで
すべてが決まってしまう不思議な存在だ、と。
蒸気のまわり方を確かめながら、
火を強くしすぎても、弱くしすぎてもいけない。
オーブンの向こうで揺れるプリンの気配を感じて、
そっと、最適な瞬間を見極めていく。
その静かな緊張感が、私はけっこう好きだ。
使うのは、牛乳・卵・砂糖・バニラだけ。
何も足さないからこそ、
卵がゆっくりと固まっていく“自然の力”が
そのまま食感に現れる。
なめらかで、でも芯がある。
かたすぎず、やわらかすぎず。
「中くらいの絶妙さ」という言葉が
いちばんしっくりくる仕上がりだ。
ほろ苦いカラメルと重なった瞬間、
プリンはようやく完成する。
舌の上でふわりと味が花ひらき、
小さな余韻だけを静かに残していく。
世代をこえて愛される理由は、
きっと、この素朴な奥深さにあるのだと思う。
今日のひと休みに、そっと寄り添うプリンをどうぞ!


